扇子は風を起こす道具として日常生活で使われるだけではなく、結婚式や結納、儀式や祭事、芸事など、おめでたい場や格式高い場でも使われています。
さらに、人生や会社の節目のお祝いの品、日頃の感謝を伝える贈り物、海外の方へのギフトとしても扇子がよく選ばれています。
このように、様々な場面で扇子が使用されていますが、その理由の一つとして、機能性と吉祥性のどちらもが1本の扇子に込められているからということが挙げられます。
そこで、今回の記事では吉祥性に注目し、扇子が縁起物とされる理由について、扇子の形と柄に注目して解説します。
そして最後には、贈り物として扇子が選ばれている実際の場面をいくつか紹介しているので、ぜひ贈り物選びのご参考にしてみてください。
理由①「末広がり」の形
まずは、扇子の形に注目します。
右のように、扇子は開いた時に持ち手からどんどん広がっていく形をしています。
この形のことを「末広がり」と呼び、どんどん広がっていく様子から終わりなく続く繁栄や発展、幸運、長寿などを意味する縁起の良い形とされてきました。
この「末広がり」の形は、扇子だけはなく、他のものにも見られる形となっており、特に有名なものとして2つご紹介します。

- 八:上から下にどんどん広がっている形。この数字が並ぶ八月八日は末広がりの日とされている。
- 富士山:頂上から裾野を広げている形。また、古くから霊峰として信仰されており、厄除けや開運などのご利益があるとされている。
このように、扇子が縁起物である理由の一つとして、その形にポイントがあります。
理由② 願いが込められた柄
次に、扇子の柄に注目して見ていきましょう。
扇子のほとんどが同じ形(「末広がり」)をしている中で、一つ一つを特徴づけるものが扇子の色や柄の豊かさ、もしくは素材です。
皆さんが扇子を選ぶときにもそのような箇所に注目して選ぶことが多いと思われます。
その中でも多くの種類があるものが「柄」です。
種類がありすぎて迷ってしまう方も多くいるのではないかと思いますが、この柄にも一つ一つ意味が込められています。
そこで次に、当店で多く選ばれている3つの柄の意味を挙げてみます。

ひょうたん
- 無病息災:6つのひょうたんで「無病息災」となる語呂合わせから。日本書紀にはひょうたんが人を助けたという話も
- 子孫繁栄:種が多く、鈴なりに実ることから
- 厄除け:ひょうたんのくびれた形は吸収した邪気を閉じ込めるとされたことから
- 立身開運:天下人となった豊臣秀吉の馬印で、身に着けていたひょうたんが味方の目印となったことから
- 三拍子:3つのひょうたんで「三拍子」(神事で使われる太鼓・大鼓・小鼓の拍子)となる語呂合わせから
馬
- 飛躍:前進し、後ろを振り返らないことから(前足を上げて立ち上がっている馬を跳ね馬とも言う)
- 勝利:昔から戦いにおいて活躍してきたことから
- 神聖:神の使いとされ、生きた馬を神社に奉納する風習があることから(神馬)
左馬(左を向いている馬)
- 吉祥:「うま」を反対から読むと「まう(舞う)」舞はおめでたい場で披露されることが多いから
- 商売繁盛:「人が馬を引く」を反対にして「馬が人を引く」馬が人を呼び寄せるから
- 万事順調:馬は右側より左側から乗るほうが安全だから


トンボ
- 勝利、成功:まっすぐ前に飛び続け、後退しないことから
- 変化、成長:幼虫から成虫へ成長するとき、大きく姿を変えることから
- 富:お米がとれる水田によく現れることから
- ご先祖様との繋がり:お盆の時期に現れることから
このように、扇子の柄には意味があり、縁起のよいものが描かれていることも多くあります。
柄の意味から扇子を選んでみても面白いかもしれません。
扇子が贈られる場面
扇子が縁起物であるということがわかったところで、最後に、扇子が贈り物として選ばれている代表的な場面を紹介します。
- 長寿祝:還暦、古希、喜寿、傘寿、米寿など、人生の節目となる長寿のお祝い。「これからも末永く、元気に人生を歩んでいただけますように」という願いを込めて贈ります。
- 開店・開業祝:新しくお店を開いたり、事業を始めたりする際のお祝い。「これから事業がますます発展しますように」という願いを込めて贈ります。
- 退職祝:長年の勤労への感謝や、これまでの功績をたたえるお祝い。「これからの人生が豊かに広がりますように」という願いを込めて贈ります。
- 竣工式・新築祝:新社屋や新居など、新しい建物の完成を祝うお祝い。「新たな場所で、これからも幸せと発展が広がりますように」という願いを込めて贈ります。
このほかにも、扇子はさまざまなお祝いの場面で贈り物として選ばれています。
おわりに
このように、扇子が人生の節目となる大切な場面や、大切な人への贈り物として選ばれてきたのには、「末広がり」という縁起のよい形をしていたり、多くの柄に縁起のよい意味が込められているからです。
扇子を贈ることは、単に品物を贈るだけではありません。「これからも幸せが続きますように」「ますます発展しますように」といった、相手のこれからを願う気持ちを託すことができます。
当店の扇子は、職人が一つひとつ心を込めて手作りしています。大切な方への贈り物として、のしやメッセージのご用意も承っておりますので、どうぞお気軽にお申し付けください。
人生の節目や大切な方へのお祝いに、あなたが選んだ扇子に思いを込めて贈ってみてはいかがでしょうか。
さまざまな扇子をご紹介しています、よろしければご覧ください。
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